こそだてドクターのおはなし
家庭で気を付けたいインフルエンザ【季節性疾患】
公開日:2025/12/01

監修:感染症、予防接種、新生児、小児一般・寺田 有佑先生
咳がひどいです。インフルエンザが長引いている証拠でしょうか?
インフルエンザは解熱したころから咳がひどくなることが多いです。
熱は通常3日前後でよくなりますが、咳は2週間前後続くことが珍しくありません。
また、咳止めの薬はインフルエンザなど感染症による咳には効果がはっきりしていません。
咳が長く続いているようでも、夜中眠れている程度であれば無理に内服や通院を続けなくても大丈夫なことが多いです。
熱が上がったり下がったりして心配です。
インフルエンザの熱は「二峰性」といわれ、
一旦熱が下がっても数日後にもう一度発熱することがあります。
解熱してもすぐに登園登校ができないのはこのためです。
一度下がった熱がまた出てくることはインフルエンザでは珍しくありませんが、高熱が続いたり、熱以外に息苦しさがあったり、ぐったりしているときは他の感染症を合併していることがあるので受診をお勧めします。
インフルエンザ感染予防の基礎知識を教えて下さい。
インフルエンザの大部分は咳やくしゃみを介して感染するので、手洗いやアルコール消毒も大切ではありますが
なによりマスクが有効です。
マスクは症状のある方がするほうが効果的とされています。
とくに2歳以上のお子さんであれば家庭内でもマスクをさせましょう。
また、食事中はマスクができませんので、感染をした方とは食事の時間や場所をずらすとよいでしょう。
お部屋を分けるのも有効ですが、お子さんの観察をしっかりとしてあげてください。
予防投与にはどんな効果がありますか?
予防投与はインフルエンザウイルスに暴露してから48時間以内に行うことで、およそ60%ほど発症を減らすことができます。
しかし、その効果も決して100%ではありません。
また、薬である以上 嘔気や下痢といった副作用がみられる可能性もあります。
予防投与だけに頼り切るのではなく、しっかりワクチンを接種しマスクをしてこどもや人の多いところは不用意に近づかないようにしましょう。
保護者の方へ、先生からのメッセージ
よく、インフルエンザが疑われたらすぐに受診して検査・治療といわれていますが、インフルエンザ対策の最優先は「かからないこと」です。
タミフルは熱を約1日早く下げる効果しかなく、肺炎や脳症を予防できるかもはっきりしていませんが、そもそもインフルエンザにかかりさえしなければ肺炎や脳症になることもありません。
感染しないために毎年欠かさずワクチンを接種して、2歳以上のおこさんにはマスクをさせましょう。